P62:このスピーチの中では、「邪悪なもの」とは「システム」と呼ばれた。
P172:誰にも知られることのない、ほんのわずかな善意と献身的な日常の努力が僕たちの宇宙の秩序と平和を下支えしているという村上春樹の「宇宙論的仕事観」はいつも僕を勇気づけてくれます。
P223:僕たちの世界には理由もない壮絶な暴力や邪悪なものがたしかに存在する。そういうものに僕たちはほんとうになにげなく角を曲がったとたんに出くわしたりする。
P239:人間的世界がカオスの淵に呑み込まれないように、崖っぷちに立って毎日数センチずつじりじりと押し戻す仕事。
P241:でも、自分の努力にはつねに正当な評価や代償や栄誉が与えられるべきだと思っている人間は「キャッチャー」や「センチネル」の仕事には向かない。
P244:私たちの世界にはときどき「猫の手を万力で潰すような邪悪なもの」が入り込んできて、愛する人たちを拉致してゆくことがある。だから、愛する人たちがその「超越的に邪悪なもの」に損なわれないように、境界線を見守る「センチネル(歩哨)」が存在しなければならない……
(中略)彼らのささやかな努力のおかげで、いくつかの破綻が致命的なことになる前につくろわれ、世界はいっときの均衡を回復する。でも、もちろんこの不安定な世界には一方の陣営の「最終的勝利」もないし、天上的なものの奇跡的介入(deus ex machina)による解決も期待できない。
PR