エントランスは地獄と化していた。
突然現れた着ぐるみのうさぎとねずみは迅速に、的確に、無慈悲に、ためらいなく武器を振るった。
バールのようなものを手にしたうさぎは淡々と殴り、突き刺し、引っ掻き、叩きつけた。返り血がピンクの体を赤く染めてもお構いなしで、縦横無尽に飛び回りフーファイターたちを掃討していった。
一方ねずみは背を向けて逃げだそうとする者を片っ端から細いワイヤーで捕らえ、恐るべき素早さで手足を縛り頭に袋をかけた。
すべてにおいて無駄のない動きだった。まるでそれが毎日こなすルーチンワークであるかのように淀みなく、しかしけして手を抜くことなく、
一人またひとり地面に転がしていった。
やがてその場にいた全員の処理を終えると、エントランスは血腥いにおいと不気味な静寂に包まれた。
うさぎとねずみは何事かひそひそと話し合い、最初に向かってきた--そして最初に頭を殴って気絶した男を二人(二匹)がかりで引きずり、エレベーターの前まで運びスイッチを押した。やがてエレベーターが到着し扉が開くと、ぐったりとして動かない男の体を半分だけ載せてつっかえ棒の代わりにした。
扉は男を挟んでしまい閉まることが出来ないため一度開くが、少しするとまた閉まろうとする。男が邪魔で閉まれないからまた開く。閉まる。開く。閉まる。開く。バールのようなもので思い切り痛めつけられた脇腹を、今度はエレベーターの鉄の扉が絶え間なく苛む。
呻き声を上げる男の傍らに座り、うさぎとねずみは友人たちの到着を待つことにした。
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