歌劇「カルメン(4幕)」 ビゼー作曲
1949年1月15日~28日 帝国劇場上演パンフレットより
カルメン「戀と云ふものは野放しの小鳥、手なづけて馴らす事は出來ぬもの、脅しても靡かぬ、くどいても聽かぬ 云ひ出さぬ人を、戀は追ひかける。おゝ、戀。おゝ、戀。」
女工等と若者等「戀と云ふものは野放しの小鳥、脅しても靡かぬ、くどいても聽かぬ」
カルメン「戀は気儘者、誰の云ふ事も聴かぬ。そちらがお厭だと、こちらは大好き。」
一同「大好き。」
カルメン「そちらではお厭でも構はぬ。」
一同「構はぬ。」
カルメン「好かれた人は御用心なさいよ。」
一同「戀は気儘者、誰の云ふことも聴かぬ。そちらがお厭だと、こちらは大好き。大好き。」
カルメン「そちらではお厭でも構はぬ。」
一同「構はぬ。」
カルメン「好かれた人は御用心なさいよ。」
一同「あゝ。」
カルメン「羽搏いて空を飛ぶ鳥の様に、捕へた筈の手から戀は逃げて行く。目もくれぬ人の傍が良いのやら、捕らうとすると来ないで、構はなきや飛び付く。おゝ、戀。おゝ、戀。」
一同「目もくれぬ人の傍が良いのやら、捕らうとすると来ないで、構はなきや飛び付く。」
―――第一幕 第五「ハバネラ」より
カルメン「調べも妖しい樂の音が起れば、ジプシーの娘たちは欣び踊るよ。打ちたゝくタンブリン、掻き鳴らすギター、響きも賑やかに、歌ふよ、囃すよ、歌ふよ、囃すよ トラララ……」
カルメン、フラスキータ、メルセーデス「(女たち踊る)トラララ……(踊りやむ)」
カルメン「タンブリンの飾りの、金の輪はきらきら、吹く風に上衣も靡くよ踊るよ。踊りは囃しに、囃しは踊りに、拍手がそろへば心も浮き立ち、歌も急ぐよ、急ぐよ。トラララ……」
カルメン、フラスキータ、メルセーデス「(女たち踊る)トラララ……(踊りやむ)」
カルメン「ジプシーのかきならす華やかな調べはジプシーの娘達の心をそそるよ。高鳴る樂の音、渦巻く歌声、響きも乱れて酔心うつつに、みな舞ひ踊るよ。トラララ……」
カルメン、フラスキータ、メルセーデス「(女たち踊る)トラララ……」
第二幕 第十二「ジプシーの唄」より
ミカエラ「もう、恐れはせぬ。役目を果たす覚悟。されど、物凄さに心は慄く。ひとり荒野をたづね迷ふ身の淋しさ、神よ此の弱き身を護らせ給へ。此の身を、神よ、護らせ給へ。此の身を、神よ、護らせ給へ。」
第三幕 第二十二「詠唱」より
いやあ、情熱的ですねえ。
いつか使ってみてえものです。
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