アイチ:苦悩する者。被害者にして加害者。
長い間渇望していた友情とそこから発展した愛、両方を一気に享受しましたが、
その代償は「どちらかを切り捨てなければどちらも失う」ことでした。
途中で井崎の横恋慕に気付くまで、悪気なく彼を傷つけ続けてしまいました。
そのことに悩み、償えることはないか悩み、誰もこれ以上不幸にならない道はないか悩みます。
森川:よき凡俗。乱暴者ですが、アイチには不器用で真摯な愛情を示しています。
裏で進む悲劇にはまるで気づいていません。もつれた糸の中心でありながら、誰よりも自由です。
理屈はわからずとも感情には敏感なので、井崎の様子がおかしいとは思っています。
しかし、自分がそれに関わっているとは夢にも思っていません。
井崎:しわ寄せを食らう者。心に渦巻く嫉妬や憎悪を、愛と友情にもとづく信念によって退けているつもりです。実際は壺に入れて蓋をして、上から押さえているだけ。外から降りかかるものならともかく、内から湧き出るものを退けることはできません。
それでも受験やカードゲームのことを考えてなんとか目をそらしていましたが、三和に絡まれてそれもままならず、いささかうんざりしています。
三和:誘惑と堕落の申し子。抑圧された心を解き放つことこそ救いと信じ、歪な平穏より清々しい破滅を望みます。俺の宗教に入れよ、なんとかしてあげないこともないよ。新興宗教俺教の教祖。
井崎の片思いにいちはやく気付きます。アイチと森川を見守る姿を
「自己憐憫に酔いしれる構ってちゃんの、不毛で滑稽なセルフSMショウ」と罵り、
欲望には従うべきだと説いたり、カードゲームや口八丁手八丁でたぶらかしたりそそのかしたりしますが、
どうにもうまくいきません。
いいこちゃんぶって貧乏くじを握ったままへらへらする人間なんて、大嫌い!とか思っています。
櫂:まちかまえる者。ねじれて混乱した状況に乗じ、望みを叶えようとしています。
森川からアイチを寝取る気でいます。自分と結ばれることがアイチの幸せと信じて疑いません。
しかし面と向かって宣戦布告するのではなく、いずれ来る二人の破局を虎視眈々と狙い、傷心のアイチにつけこむ作戦の様子。攻める時は一気に攻める。風林火山の極意なり。
三和に次いで井崎の本心に気付きます。そのため井崎がうまいこと事態を転がしてくれないものかと思っています。三和と手を結ぶ気は毛頭ないようです。かっこつけたがるお年頃であり、好きな子に悪く思われたくないお年頃です。
中二病は中学生の内に直しておくべきでした。
シンさん:見守る人。若者の青春から発生するエネルギーを吸収し変換することで、宇宙の熱病死を防いでいます。むろん嘘ですが、若いうちに感情を暴走させて、笑ったり泣いたり傷ついたり傷つけられたりすることは、大いに結構だと思っています。
彼曰く、「『大人になってからでは、迂闊にそういうことができない』という事実は、大人になってからでないとわからないんですよね、これが」だそうです。
ミサキさん:呆れる人。自分が他人の恋に口を出すのも、他人が他人の恋に口を出すのも、同じくらいに野暮だと思っています。他人が自分の恋に口を出すことはないと思っています。彼女にとって所詮恋は他人事です。
店でやかましい揉め事を起こさなければ、特に何も関与するつもりはないようです。
店長代理:ふみゃーん。
森川×アイチ←井崎←三和
アイチ←櫂
たぶん表記はこんな感じだ。たぶんね。
「三角関係のもっとも平和的な解決方法は、頂点の一つが消失することである。
それに伴い三辺のうち二辺が消失し、残った二頂点は一本の線で結ばれた状態になる」
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